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2002.11.30 OUCAシンポジウム 「子ども世代の理科教育を考える」

―― 中学校の理科; 現場からの報告 ――


佐々木 和枝
お茶の水女子大学附属中学校

 小・中学校は、平成14年度から新しい教育課程がスタートした。完全学校週5日制の下、各学校が「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、「生きる力」の育成を図ることをねらいとして改訂されたものである。
これによって、現在の親世代の時間数に比べると、授業時間全体で約8割、理科の時数は7割弱に減少した。さらに、時間数の減少より以上に内容の削減が行われ、子ども世代の理科の学力は大丈夫かという危惧が高まっている。
しかし一方で、OECDの調査(1996)によると、日本の市民の科学的リテラシーは下から2位、科学・技術に関する関心は最下位という結果が出ている。つまり、現在の大人世代には、たくさんの時間をかけて学習した成果が、科学を専門とする人は別として、あまり現れていないといえよう。  
 ますます科学・技術が進歩する一方で、地球環境問題が大きくなると予想される21世紀を生きる子ども世代には、科学を専門としない人でも科学的リテラシーをもった大人になってほしいと願っている。ところが、IEAの調査(1999)やPISAの調査(2000)によると、いわゆる理科の得点は高いが、理科が好きな子どもは38カ国中下から2位、理科は生活に重要だと考えている子どもは最下位という結果が出ている。つまり、学習したことをその時はよく覚えているが、あくまでもテストのための勉強であって、特に理科が好きでもないし、理科を学ぶ意味や重要性は考えていないという子ども像が浮かんでくる。
 そこで、これからの理科教育「子ども世代の理科教育」は、時間数の問題や内容(知識)の量の問題にばかり目を向けるのではなく、「なぜ理科を学ぶのか」「生涯にわたって学ぶ基礎は何か」をしっかり見据えた理科教育にしていくことが重要であると考えている。以下に7つの方策を提言したい。
@「なぜ学ぶか」を意識させる理科教育を推進する。
A体験を通して学ぶ理科、観察・実験をもとに考える理科を徹底する。
B小・中・高のつながりを検討し連携させる。
C教科書の内容を充実させるため、教科書検定制度を再検討する。
D少人数指導の推進と、それに伴う施設・設備・備品等の充実を図る。
E科学館等や専門家による講師派遣等を活用して、学校・家庭・地域社会の教育を連携させる。
F総合的な学習の時間を理科がリードし、他教科と積極的に連携する。