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Wuppertal大学環境科学サマースクール2012に参加

2012年10月12日
 2012年9月に行われた協定校バーギシェ・ブッパタール大学環境科学サマースクールに、理学部及び生活科学部の学生8名が参加しました。

 2012年9月3日から9月14日まで、協定校であるドイツのバーギシェ・ブッパタール大学において環境科学サマースクール2012が開催され、当プロジェクトの活動として、理学部と生活科学部の学生8名が参加しました。
 今回のサマースクールのテーマは、“Renewable Resources : Processes and Products”で、再生可能資源、代替エネルギー、石油化学、酵素や植物の利用などについての講義や、講義と関連した化学実験、研究林でのフィールドワークが行われました。また、ドイツは環境先進国として知られており、授業以外にも街中の生活から、環境問題への取り組みを体感することができました。休日には、海外からの留学生と一緒にブッパタール近郊へのツアーにも参加し、英語によるコミュニケーションを体験しました。

 参加した学生からの報告の一部を紹介します。
<報告1>
 今回、環境先進国と言われているドイツの生活で日本と違うと思ったことは、まず、お店などが閉まる時間が早いということでした。… 日本の生活に慣れている私にとってはとても不便に感じました。しかし考えてみると、夜に電気をほとんど使わないため環境に良く、現地の人にとってはこれが普通であるのだから、これもいいことだな、と思いました。また、もう一つペットボトルのデポジット制です。… ドイツではスーパーにも学校にもペットボトルを返却する機械があり、小さいお店でも受け取ってくれます。… どこででも返すことができて、ある程度の金額が返金されるとなると、日本でも捨ててしまう人が減るのではないかと思いました。
<報告2>
 現地では、ブッパタールの先生方と交流する機会を多く設けていただきました。サマースクールの参加メンバーは私達日本人学生がほとんどでしたが、博士課程や研究室の方々や、休日に参加したLinzへのツアーでは、ブッパタール大学へ留学している学生やドイツへインターンシップに来ている方々とも交流を図ることが出来ました。… 環境についてのトピックを学ぶという目的でドイツに滞在したため、現地ではドイツの「環境に関する取り組み」に注目することが多かったです。… 日本では行われていない取り組みを生活文化の違いとして発見し、環境先進国と呼ばれる理由を実際に生活して体感しました。
<報告3>
 いざ学校から離れてひとりになると、ドアの開け方がわからなかったとき、食堂の場所を教えてほしいと言われたときなど、とっさの場面で、すっと英語が出てくるようになったのは、大きな成果だったと思います。… このような異文化の中で、言語の通じない人々の中で揉まれて生活することによって、「自分が口に出さなければ、何も伝わらない」という当たり前のことに気づくことができました。
<報告4>
サマースクールに参加した成果として第一に、環境に対する意識が変わりました。日本でも環境について大きく取り上げられ、学校の授業などでも地下資源や化学燃料について学んできました。しかし、今回のサマースクールでは特に現在専攻している化学の面から考えることができ、より身近に捉えることができました。資源の現在過去そして未来について、化学的側面からより理論的に考察する重要性を感じました。第二に英語を通してのコミュニケーション能力の必要性を実感しました。… 講義では、受動的にただ知識を学ぶのではなく、教授とコミュニケーションをとるものが多く、とても苦労しました。しかし、会話のみでなく実験や課外授業なども多く含まれていたため、講義内容の理解の大きな助けとなりました。
<報告5>
 サマースクールで、日本以外の国でも活発に科学技術の発展のための研究が行われているという現状を目の当たりにしたことは、とても刺激的でした。世界を驚かせる研究に携わりたいというひそかな願望も、新たに抱くようになりました。… 今回の旅で体験したことの1つに、海外に出てみると「日本」をまた違った視点でみられるということです。… 建物に関することの他にも気候・ルール・人々・習慣・食事などの点において日本との違いを感じることがありました。また、留学生の方々と話していると、「日本はどうなの?」や「日本語で何ていうの?日本語って何?」といった「日本」について尋ねられることが多いと感じました。これは私にとって初めての経験であり、答えられない事も多々ありました。この経験から、もっと私の大好きな「日本」を紹介できる人になりたいという目標ももつようになりました。
<報告6>
 天然資源というあまり触れたことのない分野ではあったが、化学や生物の基礎知識が理解の助けとなり多くのことを学べたと思う。環境問題の解決が世界的な課題となっているが、今まで人類が利用してきた限られた資源の代替物として植物などの天然資源が非常に有効であること、また、その具体的な利用法の化学反応について知ることができた。それらは高分子材料や繊維など生活に身近な話題も多く、今後の普段の生活の上でも意識していきたい。英語力の面では、授業が全て英語で行われ不安ではあったが、教授の方々も学生も親切に分かりやすく話してくださるのでよく理解できた。初めのうちは自分から英語を話すのに躊躇したが、だんだんと積極的に話しかけることが出来るようになったと思う。英語が母国語ではないにも関わらず高い英語能力を持つ学生が多いことに驚いた。コミュニケーションとしての英語も科学英語も自在に操る学生たちと会話することはとても刺激になり、今後も英語をもっと学ばなくてはならないと思った。
<報告7>
 再生・持続可能な原料やエネルギーについてレクチャールームでの講義だけでなく、私たちが実際に実験に参加する機会や、授業で扱った植物の観察を行う野外実習へ行く機会もありました。座学だけでは学ぶことのできない部分を実験や実習を通して学ぶことのできるサマースクールだったと思います。… 授業の内容は自然科学全般にわたるもので、自分の専門外の知識を広く得ることができました。様々な専門の先生方から学ぶことができ、今までニュースなどでしか聞かなかった分野についても関心が大きくなりました。… 今まで、再生可能というキーワードに対して漠然としたイメージしか持つことが出来なかったのですが、今回具体的な事例の紹介や実験、実習を通じてどのような場面で再利用を行っているのかなどを学ぶことが出来ました。
<報告8>
 バイオマス燃料の可能性について知ることができました。私はこのサマースクールに参加するまで、再生可能エネルギーとして風力・太陽光・地熱は知っていましたが、バイオマス燃料についてはあまり知りませんでした。今、有機的な原料を使ってさまざまな取り組みが行われていて、興味深かったです。しかし、バイオマス燃料にはトウモロコシなどの食料になり得る原料を使うので、世界的に食料が枯渇している国もある中、競合してしまうという問題もあることがわかりました。ただ、植物は成長時に二酸化炭素を吸収しているので、燃やしても空気中の二酸化炭素は増加しないというカーボンフリーの考え方からすると、これからなくてはならない資源になると思います。エネルギー問題の転換期をより身近に感じ、さらに詳しく知りたいと思うようになりました。また、課外授業として訪れた森林では、世界各国の樹木が集められていて、気象の変化に耐えられる種を調べる実験をしていましたが、森林を破壊せず、再生可能な範囲で利用しようという試みと、その規模の大きさを実感することができました。また、課外学習によって留学生と英語でコミュニケーションをとったことで、帰国してから英語を勉強するモチベーションにもなりました。