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OG教員からのお茶大生物のススメ

2018年5月10日更新

お茶大生物学科ヘノススメ   加藤 美砂子 (生物学科 教授)

 私は東京の私立女子中高一貫校の出身です。この高校は、私立文系の大学への進学者ばかり、国立理系、それも生物学科を目指す私は、高校の中ではとっても変わり者でした。私は中学・高校と生物部に入り、生き物を研究する魅力にハマってしまったのです。私に生物を教えてくださったのは、お茶大生物学科を卒業した素敵な先生たちでした。私に生物学を学ぶ楽しさを教えてくださいました。生物学科に入れば、「毎日が生物部」となり、きっと楽しいに違いない!私は迷うことなく生物学科への進学を決め、受験勉強に打ち込み、念願かなって合格することができました。でも、当時の私は、大学で生物学を勉強することだけを目標にしてきたので、卒業後のことや将来のビジョンなど何もない、脳天気な大学生でした。生物学科の友達は、私を含めて高校の生物部の部長経験者がぞろぞろいて、生物オタクの集団に入れたと私は小躍りして喜んでいましたが、冷静に生物学を勉強し、卒業後の目標もしっかりしていた同級生も多く、大変なところに来てしまったと思うこともありました。
 3年の月日はあっという間に流れ、大学卒業まであと1年になりました。念願の生物学を大学で学ぶことができたので、私は十分に満足でした。他の同級生と一緒に就職活動をしようと思いながら、卒業研究で植物生理学の研究室に入りました。これまで、受け身で講義を聞き、実習という名の下に結果が予想できる実験や観察をしてトレーニングをしてきたのは、あぁ、この卒業研究の準備だったのだと4年生になって初めて気がつきました。生物学を学ぶことはゴールではなく、スタートだったのです。自分で計画を立てて行う卒業研究は毎日が面白く、失敗を重ねながらも新しい結果にドキドキしました。卒業研究の1年間だけでは物足りないと思った私は瞬く間に、就職組を抜け出し、大学院に進学して同じ研究室で研究を続けようと決めました。
 ところが、世の中はそれほど甘くなく、私は9月の大学院修士課程(現在の博士前期課程)の入試に失敗します。挫折を知らなかった私にとって、これは、とてもショッキングな出来事でした。それと同時に、何としてでも、研究を続けたいという気持ちが強くなりました。この時に、私の気持ちを受け止め、さりげなく寄り添い、暖かい指導をしてくださったのが、指導教官を初めとする研究室の先生たちでした。少人数制教育とはこのようなものだったのかと、恵まれた環境に感謝しました。そして、2月に行われた大学院の入試に合格して、無事に大学院に進学することができました。その後は、広い世界を見なさいという指導教官の勧めで東京大学の博士課程に進み、博士の学位取得後はいくつかの研究所で修行して、ちょうど10年間、お茶大を離れていましたが、縁あって生物学科の先生になりました。自分が学生だった頃の思いを大切にしながら、ずっと研究を続けています。私は学生さんたちの伴走をしながら、研究の楽しさを知ってもらいたいと努力しています。卒業研究で、学生さんは私の共同研究者として活躍し、びっくりするような実験結果になって一緒に喜んだり、予想とは違った結果に一緒に悩んだり、次にどのような実験をしたらもっと研究が面白くなるかなと一緒に考えたりという毎日です。社会人となる前に、研究活動を通して、論理的思考、柔軟な発想、時間の有効な使い方などなど学ぶことは、将来、どのような職業に就いても役に立ちます。

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 私の手元に高校時代に生物部で自主研究をしたときに作った冊子があります。私は高校時代から生物が合成する化学物質に興味があり、お茶の葉のカフェインを抽出して結晶化するなどの実験を行なっていました。それから22年後、私は夢を形にしました。カフェインに関する新しい研究成果を、Natureという世界でよく読まれている雑誌に発表することができたのです。将来の目標を何も持たなかった私をお茶大生物学科が育ててくれました。”Knock and it shall be opened unto you” どうぞ、皆さん、生物学科の扉を叩いてください。


お茶大生物学科へのススメ  近藤 るみ (生物学科 准教授)

  「君は病気の治療がしたいのかね?」  「いいえ、からだの仕組みをもっと知りたいのです。」  「それなら、医学部ではなく理学部の生物でしょう。」
高3の3学期。授業後の生物の先生との会話が、私が生物学科への進学を決めるきっかけでした。自分の興味が、生き物そのものにみられる様々な現象について、「どうしてそうなるのか」を探究することにあるのだと気づいたのです。私は専ら体育会系で、科学部に入っていたわけでもありません。いずれ日本を出て学び、働きたい。そして、自分の名前で呼ばれる職業に就きたい。漠然とした思いはありましたが、何をしたいかはわかりませんでした。お茶大生物学科の受験も国立2次試験出願の時に決断したありさまです。しかし、振り返ってみると、お茶大生物学科への入学が私の人生の大きな分かれ目であり、最良の選択でした。東京の中心で、25名の女子だけのまとまりで専門教育を受けられる贅沢な環境。ここだからこそ得られるものが、多くあります。それは、在学中だけでなく、女性の一生を支える軸となります。この環境で学び、卒業し、教員として学生と接する中で確信することです。
 高校生にとって、卒業時の進路選択は、大きな決断だと思います。しかし、一般に人生を左右する決断の多くは、20代に次々と訪れます。大学時代には、その悩み多き20代に必要な人生の基礎づくりをしっかりすることが重要です。1)自分が何をしたいか見つけること。2)何かを真剣に学び、打ち込み、自分の力を伸ばすこと。そして、その力を社会に活用できるようになること。3)人生を支える友、ロールモデルを得ること。この大事な3つの基礎づくりをきちんとできる環境が、お茶大には整っています。しかしこれは、共学で規模の大きい多くの大学では、意外に難しいのです。
 皆さんは、同性だけのグループと異性がいるグループでは、振る舞いが変わりませんか?同性だけのグループと異性が多いグループ、人数が多いグループと少ないグループでは、どちらの方が自分の意見を述べやすいですか?どちらの方が、自由に振る舞えますか?勉強に集中できますか?意気投合できますか?私は、同性のグループの方が、個性が出せて、力を発揮しやすいと感じます。また、個性を尊重しながら、団結して何かをするには、20〜30名の人数がちょうど良いと思います。お茶大生物学科では、まさにこの少数精鋭の理想的なグループで、4年間学べます。お互いを理解し、協力し、高め合い、強い絆が生まれます。
 お茶大生物学科では専門の実習が多く、4年生以降は全員が研究室に所属して、各自のテーマに沿った研究を推進します。学内は、守衛と建物のオートロックによって安全な環境が保たれており、時間を気にすることなく、思う存分研究に打ち込むことができます。大学院に進学する学生も多く、様々な先輩の姿を身近に見ることができます。一方、プライベートでは、東京都心にある地の利を生かして、学外の様々な方と交流でき、各自の活動の幅はとても広いです。大学での学習とそれ以外を、目的に応じて切り替え、やりたいことがきちんとできる。そうした充実した学生生活を送れるのが、お茶大生の醍醐味です。他人を尊重しつつ、自分の考えをしなやかに主張するコミュニケーション力、大人の女性らしいさりげなく細やかな心遣い、スマートな身のこなし方…。素敵なロールモデルとの出会いも多いです。卒業後の進路は、女性らしく、実に様々で、社会の中でそれぞれの役割をしっかりと果たしています。多様な経験を持ち、自分を理解してくれる、頼れる人生の友達に多く巡り会えることは、一生の宝となるでしょう。
 人は環境によって変わります。海外の異文化生活の体験で成長するように、女子学生のみの環境でこそ育まれるものが多くあります。私は自分の生き方を決める大事な時期に、お茶大の中と外の両方の環境に身を置くことができてよかったと思います。お茶大の特別な環境の中で、自由に自分がしたい経験を積み、自分を知ることができました。様々な女性に出会い、刺激を受け、自分らしい生き方を主体的に選択することができました。ロールモデルは、灯火のように、人生の道筋を照らしてくれます。私にとって、日本では数少ない女性の教授が身近に多かったことは、幸いでした。在学中に一年間、正規の学生として留学する機会も得られ、人生の良い基礎づくりができたと思います。お茶大の先生には、卒業後も、公私にわたりご指導いただき、励ましていただいています。信頼して何でも相談できる多くの友人にも恵まれました。そして、物事に行き詰まると、その時々でお茶大を通して知り合った方々が、私の心の支えとなってくれています。

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 日本の社会も少しずつ変化し、多様性の価値が認められつつあります。女性も自分の得意なことを伸ばし、それを活かす場所を見つけて、自分らしく生きられるように変わろうとしています。お茶の水女子大学は143年も前から、そのような女性の生き方が認められる場所でした。人の行動は周囲の環境で制限されます。仲間の数も大きな意味をなします。残念ながら「女性-理系-生物好き」は、日本の大学では少数派で、異性が多い中での学びになります。しかし、お茶大では同じ仲間がクラスでまとまって学び合うことができます。学生の人数が少ないことから個人が大切にされ、一人一人に与えられるチャンスが多いと思います。人生で大事な20代を精一杯生きるために、そして、自分らしい豊かな人生を送るために、今こそ、主体的に活動できる恵まれた環境の中で、自分の個性を思いっきり開花させてみませんか?皆さんの入学をお待ちしています。

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