ページの本文です。

数学科案内

2023年5月15日更新

数学科の目的

数学を学び研究しようと志す女子に対して,現代数学の基礎教育を施し高度職業人あるいは研究者としてさらに自ら学んでいける素地を育むこと.あるいは,学科の数学教育,特に数学講究を通して数学的論理思考を身に付けた社会における有為な人物を輩出すること.

数学科の特色

少人数教育を自負し,学生一人一人にこまやかに対応している.
女性教員が比較的多く人生のロール・モデルを身近に見ることができる.
数学の広い分野をカバーしている.

こんな人集まれ

高校までの数学をしっかり勉強してきた人であって,かつ問題を解くのが好き、論理構成に惹かれるなど数学を学ぶことが好きな人であり,数学をさらに深く学びたい人,数学の教師など数学の知識や思考形式が役立つ職業に就きたい人,または,数学の純粋あるいは応用の研究者になりたいという希望を抱いている人. 性格・気質としては,事実として突き付けられたことに対し「本当にそうだろうか」と疑問に思い,考え込むような精神をもっていること,分からないことをそのままにしないで突き詰めて考え明かしたいという意欲をもっていること.

数学科自己紹介

大学の数学科というと皆さんは、どのようなことをどんなふうに学ぶところだと想いますか。また、どんな先生がどんなふうに教えたり、指導したりしていると想いますか。それに、在学生はどんな生活をしているのか、卒業してから何をしているか、きっと知りたいでしょう。これから少しお話ししましょう。詳しくは入学してから自分で体験してみて下さいね。
大学で学ぶ数学、それは高校までの数学とは違います。どんなふうに違うか、粗くいうと、答を求めることだけではなく、答を求めるための道具立ての理論体系そのものも学ぶ対象だということなのです。例えていうなら、車の運転法だけでなく、内部の構造とその構造がどうして考えられたかとか、車そのものについても微細に学ぶのです。入学してすぐ行われる「新入生セミナー」や講義でもきっと話すでしょうがちょっとそのさわりを述べましょう。

先ず、1年次の線型代数で習うことを少し話します。中学校や高校で2元あるいは3元連立線型方程式の解法を習えば、小さな頃に考えた鶴亀算はそれを用いて解けることが分かります。大学ではもっと一般的にいくつかの元についていくつか連立した線型方程式が解けるかどうか及び解がどのようになっているかがわかるような計算手順(アルゴリズム)やそれに潜む線型性といわれる概念で統一的に調べられることを組織的に考えます。座標平面、座標空間を抽象した線型空間とよばれるものとその間の関係を抽象的に学びます。どうしてそうするかというと、多くの線型性をもつ局面に応用できるからです。

次に、微分積分学の初めで習うことを話しましょう。皆さんは、関数の微分法を習ったと思いますが、その定義そのものを深く考えたことがありますか。関数の微分を考えるとき、極限の概念を用いています。その極限の概念はしっかりしたものだったでしょうか。直感的にある量に近付いていそうな感じを持つことまでしか高校では学びませんが、極限の定義をはっきりさせた上で、関数の微分を大学では考えるのです。極限をとるのによい数の体系として実数があるのだ、といことも学びます。有理数の範囲では直感的にある量に近付いていそうな感じであっても極限がない、ということがかなりの頻度で起こってしまいます。(有理数の列、1.4, 1.41, 1.414, 1.4142, 1.41421, 1.414213, 1.4142135, 1.41421356, ・・・は無理数の平方根2に近づきます。)というわけで有理数に無理数を併せて実数というものを考える必要があるのです。ここまでお話していることが、もしかしたら、分かりづらいかも知れません。そこで、質問を一つしてみます。有理数でない実数をあなたはどれだけ知っていますか。きっとそんなに挙げられないと思います。2、3・・・の平方根ぐらいではないでしょうか。円周率も挙げられたかもしれませんが、この数が有理数でないということを示すのは結構大変なのです。というわけで、皆さんはそんなにたくさん有理数でない実数すなわち、無理数を知らないのです。実数というものについても実は体系的に把握しているのではないということに気づきましたか。

ますます分からなくなったか、何か変なことを言っているな、と感じるあなた。あたはとても素直で疑り深くない良い生徒であり、高校までのカリキュラムでは疑問にもちそうなところをうまく避けるようになっているのです。でも、大学の先生は疑問なところを徹底的に暴露してしまう、考えようによってはいけない人達です。本当はもちろん良い先生なのですけれども。

  •  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加