DNAのコドン(遺伝情報)とアミノ酸(蛋白質)を結ぶのが
transfer RNA (tRNA)です. アミノアシル tRNA合成酵素は、tRNAのアンチコドンを識別して、それに対応するアミノ酸
を選択してtRNAの3'末端に付けるアミノアシル化反応を促進する酵素です。 このことから、この酵素は生物が誕生する前に存在した可能性があります。
生物が発生する以前の地球上には、化学反応によりアミノ酸、核酸、脂肪酸、糖が生成され
ていたと考えられます。生物として誕生したのは遺伝情報がなんらかの形で存在し
同じ細胞が繰り返し作られるようになったからです。
「この古い酵素であるアミノアシルtRNA合成酵素の構造から何が分るか。
蛋白質を構成するアミノ酸が20種類しかないのはなぜか」の問いに対し、
4種類のヌクレオチドの組み合わせは64あります。
1)アンチコドンの並びを20種類しか識別できなかったからか。
2)20種類のアミノ酸しか作れなかったからか。
アミノアシルtRNA合成酵素にこの問題を解く鍵があります。
メチオニンは疎水的環境でのコンフォメーションが予想できるので、この結合部位が
特定できる可能性があります。従って、20種類のアミノアシルtRNA合成酵素の中から
メチオニルtRNA合成酵素を研究対象に選び、結晶構造と生理化学的酵素反応の予測から
1)アミノ酸の識別機構
2)核酸配列特異的なRANと蛋白質の結合の機構
について解明することを目的として研究を進めています。
その他
水を含めたサイクロフィリンの精密な立体構造からプロテアーゼの反応機構について
研究しております。