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海外留学体験記

大塚 美穂

  私は博士前期課程1年生の10月〜2月の4ヶ月間、本学の若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラムによる奨学金を得る機会に恵まれ、ドイツ・ブッパタール大学での研修留学に参加しました。留学というのは出費がかさむものなので、それまでは語学留学等に興味をもちつつもためらっていたのですが、本研修留学に対する大学の支援は渡航費を含め自己負担がほとんどないほどに充実したものであり、すぐに応募を決めました。
  研修留学では、英語で行われる授業を通して専門である化学を中心に学ぶと同時に、科学英語力の向上に努めました。英語力、特にリスニング力は確実に向上したと思います。4ヶ月という短い期間なので劇的な成長とまではいきませんが、ほとんど毎日授業などで英語をきくので、英語の流れや音に耳が慣れてきます。最初は聞き取ろうと必死になっていた授業も、途中からは「英語の授業」と意識することなく自然に受けていることに気付き、自分の成長を感じることができました。
  また、海外生活や海外の学生との交流を通して日本を客観的に見ることで、「世界の中の日本」という意識がこれまで以上に強まりました。近年はグローバル人材という言葉をよく耳にしますが、それはそもそもどういう人材なのかを考えると、高い英語力をもつというよりも地球規模で物事を考えられるということが大事なのではないかと、個人的には思います。海外のニュースが簡単に手に入る時代ではありますが、ニュースだけでは現地の温度まで体感することはできません。英語力の強化だけでなく、グローバルな視点を養うという意味でも、留学は貴重な機会であると思います。


ストラスブール大学理論化学研究室メンバーの集合写真。
セミナー後に先生方の手作りケーキを頂きました。

  博士後期課程1年次においては、半年間、フランスのストラスブール大学に留学し、Dr. Chantal DANIELの下で研究を行いました。この研究留学では、本学の湯浅年子記念特別研究員奨学基金およびフランス政府給費プログラムによる支援を受けることができました。派遣学生が12人であった前回の留学に対して今回は一人であったこと、また、研究室での研究生活を通したよりリアルな海外生活ということもあり、大変なこともたくさんありましたが、刺激を受け、学んだことも多いように思います。
  まずは研究以外の面で、銀行口座の開設や様々な保険の加入、大学への登録などに苦戦しました。ドイツ語の勉強を怠った前回の反省を活かし、渡仏前にフランス語を少し勉強したものの、ほとんど使えるレベルではなく、また反省することになりました。研究室のメンバーに助けてもらいながら、なんとか留学生活の準備を整えることができましたが、最初の一ヶ月は落ち着かなかった気がします。ポジティブな解釈をすれば、フランスの書類も日本に負けず劣らず量が多いこと、フランスの保険のシステムなどを学ぶことができたと思います。


大聖堂近くのレストランにてChantalとランチ

  研究生活では、研究の進め方の違いが特に印象に残っています。Chantalの下での研究は、一歩一歩、着実に進むスタイルでした。得られたデータをまとめ、考察し、議論し、自分のものにする。そして次に何をするかを決める、ということを繰り返しました。当たり前の、基本のプロセスなのですが、日本では新しい結果を出すことを重視してしまい、このプロセスがなおざりになっていたように思います。このプロセスをしっかりと行うことで、頭を整理しながら研究を進められるだけでなく、例えば発表など、研究成果をまとめるときに大幅な労力削減につながります。最初は戸惑いましたが、半年間の経験でこのやり方が効率的であることを学び、帰国してからも意識して行っています。


ストラスブール最大のもみの木
@クリスマスマーケット

  また、一日の過ごし方も日本とは全く異なります。博士審査を控えている学生を除く大半は、8〜10時に研究室に来て、16〜18時には帰っていました。その間にも1〜2時間のランチタイム、30分のティータイムが午前と午後にあります。一度Chantalと休日の過ごし方を話していたとき、「日本では研究室に行くことも多い」と話すと、「やっぱりあなたは日本人ね」と言われました。そしてその後に、「忙しい時期は研究室に行かなければならないときもあるだろうし、それが悪いことではないけれど、人生は研究だけじゃない。人生を楽しみなさい。」と言われ、とても印象に残っています。「人生を楽しみなさい」という言葉はたびたび耳にしましたが、フランスに根付く、素敵な考え方・生き方だと思います。時間の質を一層大切にし、より深みのある人生を過ごせるようにしていきたいと思います。

  この他にも、「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」による短期研究留学(ストラスブール大学,フランス)および国際学会(パヴィア,イタリア)への参加、「平成24年度第3回日韓3女子大学交流合同シンポジウム」への派遣等、国際的な舞台への挑戦という観点において、大学の支援を受けて充実した大学院生活を送ることができています。

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