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Wuppertal大学環境科学サマーコース2009に参加

2009年10月07日
 2009年8月に行われたドイツWuppertal大学の環境科学サマーコース2009に、理学部及び生活科学部3年生の7名が参加しました。

 2009年8月10日から8月21日まで、ドイツのWuppertal大学において環境科学サマーコース2009が開催され、当プロジェクトの活動として、理学部3年生から4名、生活科学部3年生から3名の計7名の学生が参加しました。

 参加した学生からの報告の一部を紹介します。
<報告1>
 ...ブッパタール大学では、化学や物理など専門的な視点から環境を考える授業が多くあり、特に大気圏の講義をたくさん受けました。成層圏でのオゾンの働きや、対流圏の気体の化学や成分など主に大気の環境についての講義でした。なぜ二酸化炭素を削減する必要があるのか、フロンガスによってなぜオゾン層が破壊されてしまうかなど、現在問題となっている地球環境問題の原因を詳しく解説するだけでなくその予防対策や現在研究がおこなわれている最先端の研究などの説明していただきました。 ...地球温暖化問題などを考える際、中国やインドなど経済成長が著しいが環境への配慮は不十分である国に対して排出を制限できるような技術の援助を行うべきだと感じました。経済が成長している国々にとっては、二酸化炭素の排出や汚染物質の排出は感じているけれど、汚染を考えることにより経済成長も停滞してしまうのではないかと考え懸念している国もあると思います。... 地球環境問題などのグローバルな問題に対しては、自国の利潤だけでは解決できないものであると痛感しました。...
<報告2>
 ...オゾンや大気、水、植物についての授業を行い、大変素晴らしい研究室での研究を見せていただき、基本的な理科の知識を通して環境問題について考えながら、新たに得られた知識も多かったです。また、ドイツではスーパーなどで買い物をしても基本的にビニール袋をもらうことがなく、全てエコバック制度でした。そしてペットボトルの飲料を購入する際は、最初にボトルの料金込みの値段を支払い、回収時にボトル料を返却してもらうというシステムでした。... このことから、ドイツでは日常生活でもエコ制度が充実しており、環境先進国としての国の意識を感じさせられました。
...今後、自分の専門分野の研究に生かしたいことは、下水処理場など水処理に関わる施設を訪れた時の知識です。ドイツは家庭用水の使用量が日本と比べて半分以下であることも印象に残りました。...
<報告3>
 ...ブッパタール大学の環境科学サマーコースは、平日は朝9時から夕方まで毎日授業がありましたが毎日学習する内容が異なっていたので「大変だ、辛い」という気持ちは一切なく「今日も楽しみだ、頑張ろう、昨日より多くのことを理解して吸収してやる」という前向きな気持ちで臨むことができました。お茶大の人間・環境科学科で学んだ内容とかぶる内容もありその度に復習をし、それに関連して新たな知識を得ることもでき、また同じ内容でも英語で学ぶため英語の語彙力とリスニング強化にもなり、大変勉強になりました。  ...また、授業は毎日教室で黒板を前に行われるのではなく、いろいろな研究室巡りをしたり、Julich(ユーリッヒ)という大きな環境科学実験センターへ見学に行ったり、下水処理場を見学に行ったりして、私たちの興味を引くような授業構成になっていて毎日たくさんの刺激と発見に囲まれていました。... 今回サマーコースに参加したことで、環境科学を学ぶ際の視野が広がった様に思います。...
<報告4>
 ...授業では、大気圏におけるオゾン、ラジカルの反応連鎖や都会における植物のはたらきなどを学びました。
...授業はすべて英語で行われ、はじめは黒板と先生の講義にかじりついて聞いても、初めて聞く英語の専門用語等が授業中に出てくると、それを何とかその場で把握しようと考えているうちに授業が進んでいって、授業内容を聞き逃してしまうことがありました。帰ってから授業ノートや配布された資料を広げ、もう一度自分で考えました。最低でもその日でてきた重要な専門用語を頭にたたきこみ、次の日の授業に臨むようにしました。すると、次第に授業についていけるようになり、楽しくなってきました。 また、講義の他にも大学のラボツアー、浄水場やユーリッヒの研究センター等での研修も用意されていました。水質分析実験をしたり、どんな研究をしているか説明をきいたり、貴重な経験をさせていただきました。 ...ドイツではリユース(再利用)が主流でした。「リサイクルよりもまず、リデュース(ごみをださない)。しかしもしごみがでてしまうならリユース。それでもだめならリサイクル。」リサイクルはあくまで最終手段なのだと感じました。 ...サマーコースでいろんな施設を訪れ、汚水や廃棄物を処理する様々な技術が研究、・開発されている一方、それらの施設を建設し維持していくには財政的な負担も必要であると思いました。このような背景から低コストで、高い技術を必要とせず、さらには自然の浄化能力を生かす技術を研究してみたいと思いました。...
<報告5>
 ...特に刺激を受けたのは、ドイツの学生の発言の多さです。先生の質問に答えるのはもちろん、自分が不思議に感じたことがあったらすぐに授業を中断し、先生に質問をするといった姿勢が印象に残りました。授業に対する熱意を感じました。...ドイツの学生の積極性を見習いたいと思いました。 ...今回のサマーコースで私が特に印象を受けたのは、水のことを非常に考えているということでした。プログラムの中にも水に関連した内容(浄水・下水処理場見学、廃水について、実験における水の再利用)が多く、廃水の実態を初めて目の当たりにしました。下水処理場では衝撃を受けました。一方で、廃水から染料を合成する実験も見学させてもらいました。 ...そこで感じたのは「言葉の壁」でした。今まで英語は得意であると思っていたのですが、何しろ海外に行ったのは初めてで、いざ英語でコミュニケーションをとろうとすると表現が見つからず、うまく話すことができませんでした。自分の思っていることが伝えられない、又、相手の思っていることがうまく伝わらないのは非常にもどかしかったです。又機会があったら、海外に行って英語でのコミュニケーション能力を高めたいと思います。...
<報告6>
 ...今まで科学的な側面から環境問題について考えたことはありませんでした。そのため、この環境科学サマーコースにより、環境に関する知識を得、今まで勉強してきた化学分野がどのように環境問題と関わっているのかを知り、今後の学習や研究、そして、将来へとつなげていきたいと思い、参加することに決めました。実際に参加してみて、とても貴重な経験ができたとともに、たくさんのことを得ることができ、参加して本当に良かったと思っています。 自然環境は、化学・物理・生態といった科学と密接に関わりあっているということを改めて学びました。また、環境問題を解決していくために、科学的知識を利用して様々な取り組みや研究が行われているということも知りました。...今まで大学で勉強していたことがこのように応用され、社会へと利用されているのかということを知ることができ、改めて自分たちの勉強している化学という分野の重要性と奥深さに気づかされました。... 今後専門分野の学習や研究をしていく中で、専門分野だけに捕らわれ視野を狭く持つのではなく、幅広い知識を持つことによって、視野の広い研究者・技術者になることこそがよりよい方向へと向かう鍵になるのではないかと思いました。...
<報告7>
 ...サマーコースでは、主にブッパタール大学の教授がたによる環境問題についての授業をうけましたが、その他にも、有名なユーリッヒ研究所で行われている研究について、研究員の方から直接お話を伺ったり、浄水場・下水処理場を実際に見学したり、サマーコースで授業を受け持ってくださった教授の研究室を訪ね、それぞれ自分の研究室で行っている研究を紹介してくださったりしました。また、水の汚染度を調べる実験を2人1組のグループをつくって行うなど、実際に体験できるプログラムも多く、非常に貴重な体験となりました。...最後の日には、授業で学んだことに関する確認テストをうけ、7人全員無事にサマーコース参加証明書をいただきました。  ...今回のサマーコースへの参加を通して、環境問題についての知識、特に地球を取り巻く大気で起こる化学反応についての知識を深められたと思います。 ...また、実際にブッパタールの街で18日間過ごし、ドイツの教授がたや学生さんとの交流によって、日本と違った文化に触れることができ、とても新鮮で楽しかったです。...