IMURA Laboratory, Ochanomizu University

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研究の概要

コロイド・界面化学が拓く新しいナノ材料

 コロイド・界面化学は基礎化学の中でも比較的古い歴史を持つ分野です。その一方で、ナノテクノロジーといった新しい研究領域との高い親和性も持ち合わせており、これをきっかけした新たな発見・解釈が今日も生まれています。

 貴金属ナノ結晶は、触媒やバイオセンシングといった幅広い分野での応用が期待される重要な材料です。これらの性質は結晶サイズや形によって様々に変化してしまうことから、結晶形態や分散性を狙い通りに制御していくことが肝心です。界面活性剤はナノ結晶に吸着すると表面を安定化し、その特性に応じてナノ結晶の形態や分散性に大きな影響を与えることがわかっています。例えば、貴金属ナノ結晶表面での吸着分子膜を制御すれば、ナノ結晶の分散溶媒を水系から非水系へと自在に変えられます。当研究室では、こういった界面活性剤をナノ結晶制御の足場として利用すべく、界面化学と表面科学の双方から検討を行っています。新規構造の界面活性剤がもつ能力を引き出すことで、機能性ナノ結晶を自在に抽出することを目指しています。

 さらに界面活性剤は、多彩な分子集合体を形成することでも知られています。そこで、界面活性剤のゲル構築やその外部刺激応答にも着目しています。pHや温度といった条件に応じて性質が変化する界面活性剤分子は、外部刺激を受けると分子集合構造を組み替えていきます。これを自在に操り、また貴金属ナノ結晶などと組み合わることで、新たな無機-有機複合ナノシステムの構築にも挑戦しています。例えば、界面活性剤ゲルの中へナノ結晶を包接し、液中に分散する貴金属結晶の分離抽出を報告しています。形やサイズ、表面状態といったナノ結晶の特性を見分けて高精度で抽出するシステムへの発展を目指し、研究を進めています。

キーワード

・コロイド科学  ・界面化学  ・表面科学
・ナノ結晶  ・形態制御  ・表面吸着  ・分散-凝集制御
・界面活性剤  ・分子集合体  ・ひも状ミセル  ・エマルション  ・ゲル


プロジェクトおよび外部獲得資金

進行中

科研費(代表) 基盤研究(C) No. 21K12304(令和3年度~令和5年度・予定)
「異方形態ナノ結晶の抽出と再利用を指向した機能性界面活性剤ゲルの集積空間制御」

2020年度 コーセーコスメトロジー研究助成(令和2年~令和4年・予定)
「ソフトな界面分子膜を足場とした機能性ゲル薄膜構築手法の開発」

産学連携 共同研究 (化粧品原料メーカー)(平成29年度~)
「乳化に関する研究」

過去のプロジェクトおよび獲得資金(代表)

科研費(代表) 若手研究 No. 18K18217(平成30年度~令和2年度)
「界面活性剤の識別吸着による金属ナノ結晶のゼロエミッション型元素精製」

第34回 マツダ研究助成(平成30年~令和2年・予定)
「界面活性剤の選択的被覆を基軸とした元素精製を指向するナノ結晶抽出法の開発」

科研費(分担) 基盤研究(A) No. 17H00814 (平成30年度)
「ファインバブル水を活用した次世代型繊維製品処理システムの開発」

科研費(代表) 挑戦的萌芽研究 No. 16K12634(平成28年度~平成29年度)
「自己修復作用を持つ資源循環型の異方形態ナノ触媒システムの創製」

資生堂 第9回女性研究者サイエンスグラント(平成28年6月~平成29年5月)
「金ナノ結晶の再生を指向した界面活性剤分子機能にもとづく異方形態チューニング手法の確立」

油脂工業会館 研究助成(平成28年度)
「両親媒性型超分子ファイバーへの選択的な包接による有機修飾ナノ材料の効率的な再利用法の開発」

科研費(代表) 若手研究(B) No. 26790018(平成26年度~平成27年度)
「外部刺激応答性の超分子会合体を用いた新規の金属ナノ結晶の分離回収法の創製」

科研費(分担) 基盤研究(C) No. 24510144(平成25年度~平成27年度)
「力学的・化学的作用によるイオン結晶表面ナノ・ミクロ構造の変化」

科研費(代表) 研究活動スタート支援 No. 25886013(平成25年度)
「pHに応答する新規の超分子会合体を用いた貴金属ナノ結晶の分離と回収」

科研費(代表) 特別研究員奨励費 No. 11J08379(平成23年度~平成24年度)
「エマルション界面膜を用いた新規な温度応答性粘度材料の創製」



研究の方針

 当研究室がターゲットとする研究課題は、コロイド・界面化学を基盤とした「機能性ナノ材料の構築」です。
「界面化学」ならではの現象に親しみ、基本を積み重ねて深く理解することが求められます。また、界面化学は学際分野であり、関係する学術領域、産業はきわめて多岐におよびます。無機化学はもちろん物理化学、有機化学、生化学、物理学といった複数の視点を得て、積極的に連携していく中で新鮮な発見が生み出されると考えています。
未知を楽しみ、新しいことにチャレンジする意欲のある方の研究参加を歓迎します。
 

おもな機器および研究・実験環境

 ■紫外可視分光光度計(日本分光)
 ■フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光)
 ■加熱型1回反射ATR(日本分光)

 ■偏光顕微鏡(Olympus)
 ■顕微鏡用温調ステージ(Tokai)

 ■表面張力計(協和界面)
 ■接触角計(協和界面)
 ■LB膜作成装置(Biolin Scientific)
 ■水晶振動子化学計測システム(セイコーEG&G)

 ■スピンコーター(アイデン)
 ■プラズマイオンボンバーダー(真空デバイス)
 ■高速遠心機(日立工機)
 ■卓上遠心機各種
 ■エバポレーター各種
 ■インキュベーター、恒温器各種
 ■超音波洗浄槽各種
 ■超純水装置、蒸留水製造装置各種
 ■ドラフトチャンバー

そのほか共通機器として、核磁気共鳴装置NMR各種、質量分析計MS各種、X線回折装置XRD各種など
 


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