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桜化会(OUCA)は、お茶の水女子大学化学科・関連大学院の卒業生・修了生と現旧教員でつくる会です。

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『不思議』を探究する力をいただいて
(平成22年5月掲載)


佐々木 和枝
私立桜蔭学園理事長・校長

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 私は、現在、桜蔭学園(私立中・高等学校)に勤務しております。本校は、お茶の水女子大学(当時は東京女子高等師範学校)の同窓会である「桜蔭会」の会員が、浄財を持ち寄って大正13年に設立してくださった学校で星霜86年、お茶大と深いご縁があります。現在でも、式典等には学長先生にご臨席を賜り、毎年桜蔭会の懇談会で学園の様子をご報告申し上げております。まだ女性に参政権もなく地位が低かった時代に、理想の女子教育を目指して立ち上げられた先輩の方々の熱き想い、後輩はそれを連綿と実践し今日に至っております。建学以来、「学びと礼」の心を大切にしてきた学園で、生徒は元気溌剌、勉学にスポーツに一所懸命取り組み、卒業生は社会の様々な分野で活躍しておられます。
 私は、小さい頃から教師になるのが夢でした。幼・小・中・高と、素晴らしい先生方に巡り会い、徐々に夢を現実の進路選択へと繋げてまいりました。教員養成大学への進学も考えましたが、お茶の水女子大学理学部化学科に進学いたしました。お茶大は元々師範学校であったこと、教職コースを履修すれば資格を取得できること、そして桜蔭学園に在学していたこともあって、お茶大を志望しました。また、研究の面白さ、難しさ、その方法等を学ぶことによって、子どもたちに理科を学ぶことの面白さ、大切さを伝えられるのではないかと考えました。
 大学の4年間は、化学を通して、まさに研究の醍醐味をみっちり学ばせていただきました。(そればかりでなく、サークル活動や友人との交流など、大学生活を楽しませていただきましたが・・・)何よりも少人数指導なので、今から考えると本当に贅沢に教えていただいたものと感謝しております。私どもの頃は、4年の秋から半年間が卒業研究期間でしたが、研究室には3〜4人の4年生で、先生方から熱心なご指導を直接戴くことができました。また、先生方と昼食をご一緒させていただき、化学研究のことばかりか、人生の先輩としていろいろご指導を戴きました。日常の何気ないことの全てが、教師になってからの大きな財産となっていることを実感しております。
 私は、有機化学の研究室で、ロフィンという物質の光反応機構を研究しました。その卒業研究は、どんな研究者も手がけていない「不思議」を探究することに、今、自分が取り組んでいるのだというワクワク・ドキドキ感、地道に実験を繰り返しても、思うような結果が得られないときのもどかしさ、焦燥感、先生方の適切なアドバイスで見通しが立ったときの安堵感、研究発表会で成果を発表したときの達成感等々は、今でも忘れられません。
 こうして、4年間を通して「不思議」を探究する力をいただき、埼玉県の市立中学校で理科教諭としてデビューいたしました。その後、ご縁があって、母校に戻り、附属中学校で35年間、「不思議」を探究する面白さを生徒たちに伝える仕事をさせていただき、同僚の先生方のみならず大学の先生方とも共に教育研究をさせていただいたり、大学の教育実習の一部を担当させていただいたりしました。そして、さらにご縁があって、これまた母校である桜蔭学園に勤務して今日に至っております。顧みて、中・高・大、そして社会に出てからも、お茶の水女子大学とご縁があり、「不思議」をつくづく感じております。
 次代を担う若い人たちを教育する「教師」という仕事は、とても重要であると同時にやりがいのある楽しい仕事だと思います。「不思議」を探究する面白さ・楽しさを知り、人間としても魅力溢れた方が、どんどん教師を目指してくださることを願っています。


(佐々木和枝様ご紹介)
理学部化学科 昭和43年3月卒業
現在; 私立学校法人 桜蔭学園 理事長 桜蔭中・高等学校 校長
職歴; 昭和43年4月〜昭和46年3月 埼玉県市立中学校 理科教諭
     昭和46年4月〜平成12年3月 お茶の水女子大学附属中学校 理科教諭
     平成12年4月〜平成18年3月 同校 副校長
     平成21年4月〜 私立 桜蔭学園 理事長・校長
一男一女の母。