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桜化会(OUCA)は、お茶の水女子大学化学科・関連大学院の卒業生・修了生と現旧教員でつくる会です。

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しなやかな筋力をつける大学
(平成22年5月掲載)


佐藤 寛子
国立情報学研究所 准教授

photo  どんなスポーツにも共通する基礎体力づくりが必要であるように、社会で仕事し生活していくためにも基礎体力が必要です。そして、それぞれのスポーツの特徴に合わせた基礎の強化が必要であるように、専門的な仕事をするためにはそのための基礎の強化が必要です。大学とはこうした基礎体力と専門性に合わせた強化をする場所だといえるでしょう。つまり、将来何かをしたいと思ったときに、どうすればそれができるのかを考え、実施することのできる「筋力」を身につける期間と場所であるといい換えることもできるでしょう。この「筋力」説は、お茶大の恩師からのものです。卒業後も実感として心に残っています。
 大学に在籍する期間は通常、学部が4年間、大学院は全課程で5年間です。人生の間の長さからすればごく短いこの期間だけで、人生のすべてが決まるのだと狭く考える必要はまったくないと思います。ただ、人生の可能性を広げる大切な時間であるとは言えると思います。
 また大学は、高校卒業間もない若者だけのものではありません。筋力づくりは、人生のいつの時期にでも、つけようという気持ちさえあればいつでも始められるものです。大学も時代に合わせて変化を続けており、一旦卒業した後にでも、社会人コースなどの制度を利用して学位を取得するための門戸も広く開かれているなど、一昔前には考えられなかった柔軟な受け入れが実施されています。
 もうひとつ、現代における女子大の存在意義は何でしょう?日本の女性の研究者の数は、最近韓国にも抜かれて先進国最下位になったそうです。他の国の例を見ても、何か人の意識を変えるための環境づくりを積極的にやらなければ現状は変わらないままでしょう。(たとえば、ヨーロッパのある国では、信号機のマークを女性に変えるなどの小さな努力をたくさん積み重ねて、国会議員の半数を女性とするまでの実績をあげたそうです。)このために必要なことを考え、議論し、実施することができる環境も女子大であればこそ可能なこともあるはずで、これを発信していくことも女子大の義務であるし、存在する意義であると思います。  大学でしなやかな知的筋力をつけて、人生の可能性をいっぱい、広げましょう。


(佐藤寛子様ご紹介)
2007-2008 スイス連邦工科大学(ETH)客員教授
2002-現在 国立情報学研究所 准教授
2002-現在 総合研究大学院大学 複合科学研究科情報学専攻 准教授
2000-現在 理化学研究所 客員研究員