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弁理士として知的財産にかかわる現役の実務家であり続ける
(平成22年5月掲載)


須藤 阿佐子
須藤特許事務所所長・弁理士

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2009年の事務所忘年会の様子
 化学科卒で国家公務員の行政職に就くことは珍しい時代でしたが、卒業してすぐに特許庁に入庁しました。五名の女性審査官が働く男女参画を先取りした活気あふれる「高分子有機材料」に配属され、知的財産にかかわる実務家としてスタートをきりました。その後、十名を超えるお茶大卒業生が続いてくれたことを誇りに思っています。
 審判官に昇進してから息子と娘に恵まれ、娘が六か月のとき当時の通産省で女性で初めての管理職に就きました。首席審判長を最後に特許庁を辞し、弁理士登録をして特許事務所を開業し今日に至っています。特許庁30年、弁理士18年、夫の協力を得ながら、女性の先駆者が拓いてくれた道をただひたすらに、各場面で適切な熱いエールを受けながら、振り返ると信じられないほどエキサイティングな48年を歩んできたと思っています。
 特許権の侵害訴訟や審決取消訴訟の代理人を引き受けて、高松、京都、大阪、東京、福岡と依頼人と議論する充実した日々。弁理士になってからは一人弁理士で10年間、初めて経験することばかりで、ため息をつく暇もありませんでしたが、自由業がこんなに自由なのだと謳歌しました。一方では、弁理士という職業がいかにやりがいのある職業であるか、国内・国際出願、審判、訴訟、知財相談にかかわる案件を担当するたびに実感しています。数年前から、民間企業に就職していた息子が手伝ってくれることになり、一年間の試験勉強で弁理士試験に合格してくれて、事務所の継続性を視野に入れて、知的財産にかかわるコンサルタント業務中心から、特許、実用新案、意匠、商標の国内・国外出願なども増やしたいと思うようになりました。
 今では三名の特許庁OBの弁理士に手伝ってもらって、私の後を引き継いでもらうべく教育を心がけています。弁理士という職業を通して知的で充実した時間を共有したいと願っています。最近の数年は郷里の大学で発明された「希少糖」を事業化するべく、三木町小蓑の廃校での希少糖研究研修センターの立ち上げに参加し、これまでに身につけたことを役立たせたいと奮闘中です。一つの商品を世に出すために産学官のチームワークがいかに大切かを感じながら目標達成に向けて過ごしています。近い将来、讃岐発の夢の糖が世に出た場合、一弁理士が縁の下の力持ちになって支えた執念の結実だと思ってください。


(須藤阿佐子様ご紹介)
昭和37年お茶の水女子大学理学部化学科卒業、同年特許庁入庁、審査官、審査長、部門長審判長、首席審判長を経て、平成4年に辞職、須藤特許事務所を開設し現在に至る。弁理士審査会委員、科学技術振興事業団事業評価委員会委員、工業所有権審議会委員、知的クラスター創成事業(高松バイオ希少糖クラスター)特許戦略アドバイザー、香川大学農学部客員教授などを歴任。
平成21年11月3日、秋の叙勲において瑞宝小綬章受章。

*弁理士とは、知的財産権およびこれに関するさまざまな権利の取得や権利をめぐる紛争等において、法律で定められた手続きをその権利者の立場にたって行う、知的財産の専門家です。ここでいう知的財産とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権という産業財産権および著作権の総称です。日本の産業の国際競争力を強化し経済を活性化していくためには、知的財産を戦略的に保護・活用していくことが重要であるとされ、その中心的役割の担い手として弁理士には大きな期待が寄せられています。