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学士・修士一貫教育トラック制度

2021年6月16日更新

大学院試験の一部免除や留学・インターンシップ・博士後期課程進学へのサポート

学部3年後期から研究室でバリバリ研究をおこない、2月の面接で合格すると、学士・修士一貫教育トラック制度にのることができます。
この学生は、学部4年生の8月の大学院入試の一部が免除され、また4年生から大学院の講義を取得することで留学・インターンシップに行く時間的余裕を生み出すことができます。
もちろん研究者への近道にもなり、例えば研究を早く始めた分、修士の早期終了、博士の早期終了により一般的な学生より2年も早く博士号が取得できる可能性がでてきます。

一貫トラック生へのインタビューから

今までに、多くの学生が一貫トラックに乗ってきました。3年生の春頃にはどうするか決める必要がありますが、1年生の時から一貫トラックに乗ることを決めていた学生もいますし、ぎりぎりまで考えていた学生もいます。以下には、比較的早期から一貫トラックを意識していた学生のインタビューにもとづく紹介記事を掲載します。

学士・修士一貫教育トラックに乗るまでの軌跡と乗ってからの活躍

<ホップ:学部1年生>
入学当初から、生物学の基礎研究にたずさわって多くの人の役に立つ研究をしたいと考え、博士課程への進学を希望していました。しかし、様々なことに興味があり、自分が生物学の中のどの研究分野に進みたいのかがはっきりとは決まっていませんでした。そこで、入学時点で興味のあった発生生物学について知ろうと思い、アドバンスト・プログラム(アドプロ)制度を利用し、発生生物学が専門の千葉先生の研究室でヒトデの倍数体に関する研究を始めました。現在研究している生物物理学との出会いは、学部1年の夏前に、量子生物学に関する本を偶然見つけたことがきっかけでした。高校では生物学と化学を選択しており、その本を理解するのに物理学の素養が足りないことを思い知らされ、当時履修していた科目を担当していた物理学科の曺先生に紹介してもらい由良先生を訪問、量子力学を勉強するための学習プラン作りに協力してもらい、そこから自習しました。それと同時に、生物物理学がどういう研究をしている分野なのかを知るために、夏休みには生物物理若手の会夏の学校に、秋学期には日本生物物理学会年会に参加しました。

<ステップ:学部2年生>
2年生では引き続き、発生生物学の実験研究と生物物理学のコンピュータを使った研究の両方に魅力を感じ、進路を決めかねていました。そこで学内外で参加できる学習機会にできるだけ多く参加し見聞を広め、その経験を元に決めることにしました。千葉先生のアドプロでは引き続きヒトデの発生研究に取り組み、たくさんの失敗を重ねながら、失敗の中から教訓を学び発展させる、という研究の精神を学びました。大学では計算生物学や物理化学の授業も履修し、タンパク質の立体構造に関する勉強もしていました。夏にはコンピュータプログラミングを勉強し、筑波にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)のサマーチャレンジにも参加して、タンパク質の立体構造解析をする実験を経験しました。秋には国立成育医療研究センターを訪問し、機械学習を使ったバイオインフォマティクス研究を始めました。翌年の春には、TOMODACHI STEMプログラムに参加して米国Rice 大学に短期間留学し、そこで計算生物学の世界最先端の活動を経験することができました。

<ジャンプ:学部3年生〜博士課程前期1年生>
3年生では、由良先生のアドプロにも参加し、本格的に生命情報学の研究活動に参加しました。それまでに積み重ねた経験から、生命情報学の道に進もうと決め、学士・修士一貫教育トラックを志望しました。早く博士号を取得し一人前の研究者となり、人の役に立つ研究に携わりたいと思ったためです。学部2年生の時に経験した研究を発展させ、その成果とこれからの研究計画を書類にして提出、年度末の一貫トラック面接で発表しました。研究計画書を書いたのはこの時が初めてでだいぶ苦労したのを覚えていますが、振り返ると研究者としての書類作成方法を学ぶとてもよい機会だったと感じています。年度末の面接試験に無事合格し、学士・修士一貫教育トラック生になることが決まりました。

4年生になり、大学院の授業を先取りしながら、国立成育医療研究センターとの共同研究に従事するとともに、米国Rice大学との共同研究にも関与して、二足のわらじで研究を進めました。大学院入学試験を一部免除してもらえたおかげで、試験用に勉強する時間を利用し留学奨学金へ応募、夏には3ヶ月間米国Rice大学へ再び行くことができました。この留学で研究をさらに進め、米国生物物理学会年会で研究成果をポスター発表するに至りました。同じ研究で卒業研究発表も行い、卒業判定審査を無事に通り、学部を卒業しました。

博士前期課程1年生では、大学院の履修科目の多くを履修済みだったので、研究活動に専念することができました。この年には、国立成育医療研究センターとの共同研究を論文という形でまとめ、専門誌に発表し、日本分子生物学会年会でポスター発表しました。学士・修士一貫教育トラックでの博士前期課程早期修了には、専門誌への論文の掲載が条件となりますが、この点をクリアし、博士前期課程早期修了の候補者となることができました。夏からはコツコツと修士論文を執筆、冬に修士論文審査委員会に論文を提出し、年度末の修士論文発表会において修了を認められ、博士前期課程を1年間で早期修了することになりました。春に受けた博士後期課程入学試験(面接)も合格し、4月からは博士後期課程の1年生になりました。

一貫トラックではいろいろなことが同時に進んでいくので大変ではありましたが、一貫トラックを希望したからこそ得られた経験や時間的余裕のおかげで、学内外の各種プログラムなどにも参加し、研究者としての能力を培うチャンスをつかめてきたと思います。その結果、入学当初よりも、基礎研究という形で多くの人の役に立つ研究をする研究者になるという目標に名実ともにかなり近づいてきたと感じます。努力の分だけ目標に早く近づくことができるのは、学士・修士一貫教育トラック制度の大きな魅力の一つだと思います。 

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2021年5月16日 博士後期1年 柴田眞侑(由良研)

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